
2006-05-13 Sat 02:55
学校と家を往復するだけの変わらない日常。そして、邪魔にされるだけの俺。 そんなものに飽き飽きしていた俺は、むしろこの事態を歓迎していた。MSが、大挙をなして飛来しプラントをぶっ壊してくれる日が待ち遠しいくらいだ。 「無事、卒業できました。いよいよZAFT軍に配属です。当面はつき軌道に配備される戦艦に乗ることになりそうです」 兄貴が顔を紅潮させ両親に報告するのを、俺はソファーに横たわりながら横目で見ていた。 「本当に、軍に入ってしまうのね。卒業できたのは、嬉しいけど……、私なんていったらいいのかしら」 「リザ。しっかりするんだ自慢の息子の門出を祝ってやらなくちゃ」 父が母の肩にしっかりと手を沿え、母を励ました。 「ええ……ええ、本当ね。嫌だわ、私ったら。でもね、心配なのよ。それはわかって頂戴。こんな戦争がひどくなってる状況でお前を軍に送らなきゃいけないなんて」 「確かに、優秀なお前なら、どこの企業でも欲しがるだろう。それなのに、お前と来たら」 「お父さん。今は、戦争です。それを見てみぬフリはできません。同胞の民がたくさん死んでいくのに……。僕はもう犠牲を出したくない。これ以上ナチュラルのやつを野放しにしていたら、どんどん付け上がるばかりです。僕はコーディネーターの未来のために戦うため、軍に入るんです」 俺は、あまりのばかばかしさに大音量でテレビをつけてやった。 両親も兄貴も、一瞬すさまじい嫌悪の顔を向けたが、結局、黙ってこの場をっていっただけだった。俺に何を言ってもしょうがないと、あきらめているのだろう。 |
2006-05-07 Sun 03:54
『大企業の息子。できのわるいほうの次男』 それが、俺について回っていた剥がしようのないレッテルだった。反吐が出るほど嫌だった。だけど、俺はそこから逃げ出すすべがわからず、ただ沈黙して、自分の周りを取り囲む世界に壁を作ってやり過ごしていた。 できの悪いといわれるのも、努力不足のせいならば、仕方がない。だが、俺は明らかに出来損ないだった。 コーディネーターと呼ばれる種が地球上に現れたのは、もう70年以上前のことだ。遺伝子をよりよいものへと改変し、人間の能力をさらに高みに上げようとしたものたちの手によって生み出された。 しかし、人工的な措置を伴って生み出されるその生命体は、失敗の可能性を捨て去ることはできなかった。 その結果が――俺だ。 人工的な措置を伴って誕生した俺は、肉親の期待を一身に集めていた。両親もコーディネイターだが、有り余る金の力にものを言わせ、俺に再コーディネイトを施していた。 俺の兄は、それで見事な成功を収めた。 たが、肝心の俺は、まったくナチュラルと区別がつかないような能力のない子供だった。 親の目は厳しかった。まるでそこにいないものとして扱われた。 自分たちの力で期待どうりの子供を作ったつもりでいたのだろうが、このざまだ。目を背けたくなるのも無理はない。 だけど、俺は、――生まれてきてしまった俺は? いったいどうすれば、いいというんだろう。 注)このサイトの設定 スティングは出来損ないのコーディネーター を元にして作っている小説です。本編設定とは違いますので、ご注意ください。 続く。というか、寝ます。また続き書きます。 |
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